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フィリピンの婚姻法について

今回はフィリピン人と結婚するためにはフィリピンでの婚姻に関する法律を正しく理解する必要があります。今回はフィリピン人との結婚において、押さえておきたいフィリピンの婚姻法について解説していきます。

(日本人の配偶者等ビザの基本的な考え方について確認したい方はこちらの記事を確認)

まずフィリピン家族法1条に婚姻の定義の記載があります

→婚姻とは、夫婦及び過程としての生活を確立するために、男女の間で法律に従って締結される恒久的結合の特別の契約である。婚姻は家族の基礎であると同時に不可侵の社会制度であり、その性質、効果および付随的条件はこの法律に定める制限内において婚姻中の財産関係を約定できる場合を除き、契約に従うのではなく法により規律される。

と記載があります。

目次

婚姻の成立要件について

婚姻当事者たる男女が法的婚姻能力を有すること、および自由意志に基づく婚姻の合意とともに、近任挙行担当官の面前で所定の方式に従い宣言することを要件としています。

❶実質的要件

婚姻当事者が、婚姻能力を有すること、および自由意志に基づく婚姻の合意の存在が実質的成立要件です。

a 婚姻年齢
男女とも18歳です。成人年齢も18歳ですので未成年の婚姻は認められません。(無効要件
さらに18歳以上21歳未満の者が婚姻するには、父母、後見人、法定看護者などの同意が必要とされ、21歳以上25歳未満の者が婚姻するには父母、後見人の助言を得る必要があります。

b婚姻障害
近親婚、重婚、精神的・肉体的不能が婚姻障害に該当します。

(a)近親婚(無効原因)
・直系尊属と直系卑属、兄弟姉妹
・4親等以内の傍系血族(日本の場合は3親等内)
・継父母と継子
・義父母と養子
・養父母と養子
・養親の生存配偶者と養子
・養子の生存配偶者と養親
・養子と養子の嫡出子
・同養親の養子同士
・当事者の一方が相手方と婚姻する目的で相手方の配偶者もしくは事故の配偶者を殺害した場合

(b)重婚、多重婚(無効原因)
婚姻中に重ねて婚姻すること

(c)精神的不能(無効原因)、肉体的不能 (取り消し原因)

(d)再婚禁止期間

フィリピンの家族法には規定がありません。フィリピン民放下では、寡婦について300日の再婚禁止期間が設けられていましたが、家族法制定時に廃止されました

これは家族法により前婚の子か後婚の子かにつき一律に定める規定がもうけられ父性について混乱が生じなくなったからです。

❷婚姻の合意

婚姻意思の合致が必要とされます。したがって、双方もしくは、一方に婚姻意思がない場合無効原因となり、婚姻意思に瑕疵がある場合には、取消原因となります。

・人違いによる婚姻(無効原因)
・当事者双方又は一方がこんいんを偽装する場合(無効原因)
・当事者の一方に精神異常がある場合(取消原因)
・詐欺、強迫等による婚姻(取消原因)

形式手要件

婚姻の形式的要件は以下の通りです。

・権限のある官吏により挙行されること
・有効な婚姻許可証であること
・当事者が官吏の面前に出頭し、婚姻の儀式を行うこと、および当事者が互いに夫とし妻とすることを成年の2名以上の証人の面前で宣誓すること。

・権限のある官吏により挙行されること

権限のある婚姻挙行官吏によって挙行されなければなりません。

権限のある挙行官吏とは以下のものを言います。

a管轄裁判所の現職裁判官

b所属する教会や宗派によって正式に認可され、住民登録長官のもとに登録した祭司、ラビ(ユダヤ教の指導者、)、イスラム教の導師、聖職者で所属する教会や宗派から書面による認められた権限の範囲内で任務を遂行するもの。この場合婚姻当事者の少なくも一方がこの教会または宗派に所属していることが要件

c在船危急における婚姻の場合の船長または機長

d軍事作戦地域における危急時の婚姻の場合の牧師が配属されている部隊の司令官

e総領事、領事または副領事。この場合は在外のフィリピン人に限られる

f市長

・有効な婚姻許可証であること

a婚姻許可証の取得

一部の例外を除いて婚姻当事者が婚姻許可証を取得していることが必要です。婚姻許可証は、婚姻当事者の一方の住居地の市や自治体に所属する民事登録官が発行します。婚姻当事者は、婚姻許可証交付申請を地方民事登録官に提出し、これを受領した民事登録官に亭主致死、これを受領した民事登録官は婚姻能力があることを確認して、当該申請のあったことを原則10日間公示することになります。婚姻許可証の交付申請には出生証明書が必要です。婚姻歴がある場合、前配偶者の死亡証明書または、前婚の向こう、取消、離婚判決の提出を求められます。フィリピン家族法は離婚を認めないにも関わらず、離婚判決とあるのは例外的に認められるイスラム教徒間の離婚などを配慮したものです。

18歳以上21歳未満の婚姻当事者は父母の同意が求められ21歳以上25歳未満の場合は父母等の助言を必要とします。

上記の場合同意または助言のほかに婚姻執行権限者または婚姻相談員の受講証明書が必要とされます。この受講証明書がない場合工事期間満了後3か月間留保となります。民事路登録官→10日間の公示→婚姻許可証を交付します。婚姻許可証の有効期間は120日です。当事者の一方又は双方が外国人の場合、婚姻許可証を取得する前にその外国人が所属国の外務省もしくは領事等が発行する婚姻能力があることを証明する文書(婚姻要件具備証明書のこと)を亭主しなければなりません。

フィリピンは、渉外婚につき挙行地法主義を採用していると照会される場合が多いのですが、これは国内で挙行される渉外婚については属人法主義を採用していることを意味します。

b婚姻許可証を必要としない婚姻

婚姻には、原則として婚姻許可証が必要ですが、例外的に以下の場合には免除されます。死亡危急時の婚姻、遠隔地の婚姻、イスラム教徒及び少数民族の婚姻、内縁状態にあった当事者の婚姻があります。内縁状態にあった婚姻は、少なくとも、5年以上事実上の夫婦として暮らしていることが必要で、この点に関することと、婚姻障害が存しないことの宣誓書が必要です。

婚姻儀式の挙行と宣誓

当事者が官吏の面前に出頭し、婚姻の儀式を行うこと、および、当事者が互いに夫とし妻とすることを成年の2名以上の証人の面前で宣誓することが必要です。官吏の面前を要求するのは婚姻当事者本人出願主義を採用し、代理による婚姻をきんししている趣旨です。婚姻挙行官吏は婚姻が法律に従って挙行されたことを証明します。これが、婚姻証明書です。

こんいん証明書に関して、当事者が互いに相手を夫とし、妻とする宣誓文のほかに婚姻証明記載事項が定められています。

婚姻証明書は4通作成され、その原本は当事者に交付され、2通は15日以内に地方民事登録官に送付され1通は婚姻挙行者が保管します。

地方民事登録官は1通を保管し、登録簿にこれを記載します。実務上はほかの1通を国家統計局に送付されます

外国において挙行された婚姻について

フィリピン国外で挙行された婚姻について、挙行地の法律にしたが有効である場合、フィリピン国内においても有効です。ただし、婚姻適齢(18歳)に達しない婚姻、重婚、人違いによる婚姻、婚姻の取り消しまたは無効判決を得ているが、市民登録簿が未了のもの、婚姻時に夫婦間の義務を果しえない程度の精神障害のあるものによって挙行された婚姻は除かれます

これは外国において局された婚姻について、実質的要件及び形式的要件ともに挙行地方主義を採用したものです。ただし、前述の通り、国内で挙行される渉外婚の場合は、属人法主義をとっていますので注意を要します。これらの関係をいかに例示します。

 

❶フィリピン人男(25)、フィリピン人女(25)が香港において婚姻許可証なしに婚姻→有効

❷フィリピン人男(17)、フィリピン人女(17)が台湾で婚姻→無効

➌いとの関係にあるアメリカ人がフィリピンで婚姻→有効

婚姻の効果

婚姻の効果については身分的効果と財産的効果がありますが、前者のみの記述にとどめます。

 ❶同居義務

夫婦には同居義務があり、この義務を履行するため夫婦は住居を定めることになります。合意が原則ですが、合意が得られないときは裁判所が判決します。夫婦の一方が、家族の結束を害するような場合は、許可しません。

❷夫婦の扶助義務及び家族の扶養義務

夫婦は互いに扶助義務を負います。また夫婦は連帯して家族扶養する義務を負います。

➌氏(性)

氏に関する規定です。フィリピン民法第13編は家族法制定によって廃止されておらず、同法370条が適用されます。老嬢は、妻の氏の使用方法につき以下の3つのタイプを定めています。

a婚姻前の氏及び名に、夫の氏を加える

b婚姻前の名に、夫の氏を加える

c夫の氏及び名を用い、妻たることを表示するため前に mrsの称号をつける

婚姻の取り消しの場合、妻が有責配偶者であるときには婚姻前の氏に服さなければなりません。妻が無責配偶者の場合は婚姻前の氏を用いるか、婚姻後の氏を用いるかは、原則として自由に選択できます。

法定別居の場合は、別居前の氏を称しなければなりません。寡婦の場合は、死亡した夫の氏を用いることができます。

婚姻の無効・取消

❶婚姻の無効

婚姻の成立要件及び形式的要件のいずれの一が欠ける婚姻は当初から無効になりますなお、再婚の為に前婚の無効を主張するためには、前婚が無効である旨の確定判決が必要です。

a婚姻の実質的成立要件にかかかる無効原因

・婚姻適齢に達しない婚姻

・重婚

・人違いによる婚姻

・婚姻無効または取消判決を得ているが市民登録が未了のもの

・婚姻時に夫婦間の義務を果たしていない程度の精神障害のあるものによって行われた婚姻

・近親婚等

b婚姻の形式的要件にかかる無効原因

・権限のある官吏によって婚姻が挙行されなかった場合

・許可証を要する婚姻の場合に、許可証なしで婚姻が挙行された場合

❷婚姻の取り消し原因

婚姻の成立要件の欠缺ではないが、これらに瑕疵がある場合には、こんいんを取消することができますが、これは訴えによることが必要で、出訴権者は婚姻当事者のほか詳細に規定されています。また原則取り消し原因たる事由が止みたる後5年以内に訴えを提起することが要求されます。婚姻の取り消し原因は以下の通りです。

・一方当事者が18歳以上21歳未満で法定代理人の同意を得ずに挙行された婚姻

(ただし21歳に達した後に自由意志で当該当事者が夫婦として同居した場合をぞ之来ます。)

・当事者の一方に精神省がある場合

(ただし、その当事者が障害から回復した後に自由意志で当該当時syが夫婦として同居した場合を除きます)

c当事者の一方が詐欺により婚姻した場合

(ただし、その当事者がその詐欺のよう得件事実を言ったうえで当該当事者が夫婦として同居した場合を除きます)

詐欺には善良な風俗、倫理に反する罪で、有罪の確定判決を受けていたこと、妻が夫以外の男との間の子を妊娠していること、伝染病の性病に罹患していること、麻薬、アルコール中毒、同性愛者であることを各々婚姻時に秘匿していた場合が含まれます。しかし、これら以外の健康、階級、財産、低層に関する秘匿もしくは虚偽の告知は、ここにいう詐欺に該当しません。

d当事者の一方が強制、強迫、不当な圧力により婚姻した場合

(ただし、強制、強迫、不当な圧力がなくなり、自由意志で当該該当者が夫婦として同居した場合を除きます)

e当事者の一方が、婚姻時、身体的に婚姻関係に入る能力がなく、その無能力が継続しており、かつ治療の見込みがない場合

f当事者の一方が思い伝染病の性病に罹患しており、治癒の見込みが名合ばあ

離婚

フィリピン共和国は離婚を認めない国の一つです。これはカトリック的婚姻観に基づくものです。フィリピン民法において、離婚は禁止され、その代替え措置として法定別居が認められます。これがフィリピン家族放に基本的に承継されています。フィリピン家族は法て別居を規定しています。法定別居は、法定別居原因がある場合に、裁判所の判決で別居、夫婦共有財産の清算、子の看護者を定める制度で、婚姻の絆は解かれません。例外的にフィリピン人と外国人の夫婦については、離婚が認められることがあります。またイスラム教徒の場合は離婚が認められます。

外国で成立した離婚

フィリピン家族法26条2項は、フィリピン人と外国人間の婚姻が有効に挙行された場合において、外国において、そのあと離婚が有効に成立し、外国人配偶者が再婚できる資格を取得した場合には、フィリピン人はいぐうしゃもフィリピン法に従い再婚できると規定しています。ただし、。本条が適用されるのは外国人と婚姻したフィリピン人の場合に限られ、フィリピン人同士の場合は適用されません。

 ❶外国において外国人と再婚する場合

まずこn26条2項にいう、再婚には、離婚したフィリピン人配偶者が別の外国人と外国において婚姻する場合は26条1項の要件さえ充たしていれば再婚でることに異論はありません。実際の手続きにおいても本邦にあるフィリピン公館において、離婚した相手方である日本人の戸籍謄本をもって離婚事実を証明した文書として扱われ、。再婚の前提たる婚姻要件具備証明書が発行されています。その離婚が協議によるか、家事審判法上の調停、審判によるか判決によるかフィリピン人側が選んだか、フィリピン人が申立人か、原告か否かなどは問われていません。

❷フィリピン国内での離婚配偶者の地位

本来の再婚は極めて例外的な規定で、実際上は上記の外国での外国人との再婚を意味し、。離婚したフィリピン人配偶者がフィリピン国内において再婚することまでも認めたものではないとするのが一般です。

➌自ら望まないで離婚したフィリピン人配偶者の再婚

26条2項によって外国人と離婚したフィリピン人配偶者はフィリピンにおいて再婚できることになります。しかしこのような事例は、実施最上は極めてまれな場合にしか生じないと考えれられマス。ですが婚姻許可証の発行申請時に離婚判決の提出を求められ、自らが望まない離婚であることの論理的帰結として、その判決は、外国人を現行、フィリピンひとを被告とする判決が要求されるからです。例えば、日本人との離婚の場合、日本人配偶者を原告としてフィリピン人配偶者を被告とする離婚判決が必要となります。本邦の離婚調停もしくは審判がここにいう離婚判決に含まれるか否かは議論のあるところです。含まれるととされるとしても、日本人が申立人となることが要求されます。いわゆる協議による結婚ではこの要件を充足していなので再婚できないことになります。

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