結婚は在留資格の有無に関係なく両者の合意によってすることができます。したがって、相手の配偶者予定の方が不法残留者(オーバーステイ)でも結婚することができます。しかし、婚姻を有効に成立させるためには、双方の国の法令に定める一定の要件を満たす必要があります。
結婚届の提出に必要な書類
日本で結婚するためには次の書類が必要になります
❶婚姻届
❷戸籍謄本(日本人)
➌外国人女性のパスポート(外国人)
❹婚姻要件具備証明書(外国人)
以上の書類を備えて市区町村役場に提出します。婚姻要件具備証明書を市区町村役場に提出する場合には翻訳文が必要になります。この翻訳は自分でもすることができます。従来は不法残留者(オーバーステイ)であっても外国人登録をする義務がああり、外国人登録をしていれば登録している市区町村役場で外国人登録原票記載事項証明書を発行してくれましたが、2012年7月9日以降、外国人登録法が廃止され、この証明書は発行されなくなりました。また不法残留者(オーバーステイ)には在留カードも発行されず、住民登録を受けられない為、住民票の写しの発行もうけられません。
婚姻届けの受理証明書
婚姻届を提出した時、市区町村役場から婚姻届の受理証明書野交付を受けることをお勧めします。婚姻届を提出すれば、婚姻した事実が記載された戸籍謄本の交付を受けることができます。なお戸籍に記載されれば日本国法上は適法に婚姻関係が成立しますが、国際結婚の場合は相手方の国の領事館にも婚姻の事実を届でてください。特に台湾は日本の戸籍と類似する制度があり、当該国の戸籍にも婚姻の事実を記載する必要があります。韓国は戸籍謄本制度がありましたが、廃止され現在は婚姻関係証明書となっています。
不法残留者(オーバーステイ)との関係について
これらの手続きにより正式に二人は法律上の婚姻関係が成立したわけですが、法律上婚姻が有効に成立したからといって不法残留(オーバーステイ)の状態が解消されたわけではありません。したがって、。退去強制処分を受ける可能性があることになります。いったん、退去強制されますと、原則として少なくとも5年間は上陸拒否事由に該当するものとして日本に上陸することができません。その退去の日以前に退去強制されたことや出国命令制度により出国したことがあるときは、今回の退去の日から10年の間、上陸拒否事由に該当します。
不法残留者(オーバーステイ)が日本人と婚姻し、継続して日本に在留することを希望する場合には、住所又は居所を管轄する出入国在留管理局に不法残留(オーバーステイ)の事実を申告します。これは在留特別許可を得るために行います。申告をすると退去強制手続きに移行し、入国警備官によって違反調査が行われます。違反の事実が判明すると不法残留者(オーバーステイ)に対する収容の手続きがとられますが、婚姻関係にある不法残留者(オーバーステイ)に対しては本人などの請求または収容所長もしくは主任審理官の職権により、即日、仮放免の手続きがとられることもあります。
手続きの概要は以下の通りです。まず入国警備官の調査報告に基づいて入国審査官が在留を許可するか否かを認定します。この違反の認定に不服の場合は、その通知を受けたひから3日以内に口頭で、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができます。口頭審理は特別審理官によって行われます。そして違反の判定があった場合かはその通知を受けた日から3日以内に、不服の理由を記載した書面を主任審査官に提示して、法務大臣に対する異議申し立てを行うことができます。法務大臣は諸般の事情を考慮し、異議の申しでに理由があるか否かについて咲いて決を行います。
この裁決によりいわゆる在留特別許可を得られば日本人の配偶者等ビザと在留期間(通常は1年間)が特別に許可され、在留カードが交付されることになり、それ以降は完全な世紀在留者として、適法に本邦に在留する状況を回復することができます。
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