在留資格を持って在留する外国人は、原則としてその在留資格に伴う一定の在留期間に限り、本邦に適法に在留することができます。在留期限までに在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を行わずに同期限が経過すれば不法残留(オーバーステイ)状態になってしまい、退去強制手続きが取られることになります。在留期限までに在留期間湖心許可申請や在留資格変更許可申請を行わなければならないにもかかわらず、様々な時事用により申請ができなかった場合があります。そこで出入国在留管理庁では、申請人を救済する措置として法令の定めはありませが実務の運用として一定の類型について在留期限経過後の申請でも特別に受理することがなされています。しかし特別受理の制度があるといっても法令に根拠がある制度ではありませんので、法令による手続き保証はなく確実に特別受理されるといった状況はありません。特別受理には長い歴史があり、、過去に救済された外国人は数多く存しますので、その蓄積により特別受理される実際上の要件といったものはある程度うかがえます
特別受理の実際上の要件について
在留期限経過後の在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請または入管法22条の2第2項に規定される期間(入管法に定める上陸手続きを減ることなく本邦に在留することとなる事由が生じた日から30日以内)経過後の在留資格取得許可申請であっても❶申請の遅延が天災、事故、疾病等申請人の責めに帰すべからざる事由によるものと認められる場合その他申請の遅延の事情またはその他の情状から地方入管局又は出張所の長が特に申請を受理して差し支えないと認める場合であり、❷事業の内容から許可が確実と見込まれる場合であることが特別受理されるための一応の実際上の要件と考えられます。
特別受理は、実際上悪気はないが、ついうっかり在留期限内に更新などの申請をするのを忘れたというケースにおいて多く求められます。このようなついうっかりの在留期限徒過は、申請人の責めに帰すべき事由であるといえますが、kのような場合でも入管は緩やかに特別受理お認めて居た時期もありました。しかし、その後特別受理に係る運用が厳しくなされる時期もあり現在ではついうっかりの在留期限徒過のような場合に
特別受理がなされるかは予断を許しません。入国管理局に対しては遅延の事情その他の情状を資料等を添付して理解を求めることに努める以外にありません。
なお在留資格取得許可申請に係る特別受理に関しては、本邦で出生した外国人で、本邦の在留を希望する者についてはは出生から30日を経過した場合でも、出生から60日以内であれば実務上、特別受理される可能性が高いです。しかし特別受理は法令上確実に保証された措置ではないので出生から30日以内で申請すべきです
特別受理の効果
在留期限経過後の申請が特別受理され、審査の結果許可を受けた場合には適法な在留が継続している扱いとなります。(手続きとしてはいったん短期滞在ビザへの在留資格変更が許可されたうえでその短期滞在ビザから在留期限経過前に有していた在留資格への変更が許可されることとなります)この場合には、当然退去強制手続きが取られることはありません。他方、特別受理されなかった場合には不法残留者(オーバーステイ)となりますので、退去強制手続きがとられることになります。例えば実際に、ついうっかり在留期限を2か月を経過してしまった2歳の幼児について、不法残留(オーバーステイ)として退去強制手続きが取られた事案がありました。ただし退去要請手続の中で、現在までの在留状況、在留の必要性などを考慮されて、在留特別許可をうけられることがあります。
特別受理に類似する制度について
上記のとおり申請人の責めに帰すべからざる事由による遅延であり、事案の内容から許可が確実と見込まれる場合であれば特別受理はなされていますが、ついうっかり忘れたような場合には特別受理が認められるか否かは予断を許さないといえる現状です。
これに対して近時特別受理に類似する制度が登場しています。それは在留期限内に申請をしたが許可しないとの判断が在留期限経過後になされた場合でかつ本人の情状が悪くない場合における運用です。
すなわち入管実務では在留期間経過後、入管当局が当初の申請について許可しないと決定した時は申請人の出頭を求めたうえで通知書を手和足、。当初の申請の内容では許可できない旨を告知し、申請人に申請内容変更申出書を提出させることにより出国準備のための特定活動への在留資格変更を許可するという運用が行われています。これによれば申請人は不法残留(オーバーステイ)として退去強制手続きが取られることを回避でき、当初申請した在留資格に係る再申請の可能性が残る措置といえます。申請内容変更申出書の提出を在留期限経過後に認め、当該申出があった場合には、在留期限経過前である当初の申請があった日に特定活動への在留資格変更許可申請があったとみなすものであるので、特別受理に類似する申請人の救済のための制度といえるでしょうなお、当初の申請で虚偽事実を述べたり、在留状況が極めて良くない場合には、申請内容変更申出による出国準備の特定活動への在留資格変更が認められない場合があり、このような場合には収容される可能性があります。
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